なぜゲーミングPCは光るのか?LEDライティングの魅力・仕組み・導入までを徹底解説

eスポーツの大会映像やゲーム配信者の部屋を見ると、鮮やかに発光するPCやデバイスが目に留まることはないでしょうか。ゲーミングPCといえば「光る」というイメージを持つ人も多いかもしれません。なぜ、ゲーミングPCは光るように進化してきたのでしょうか。
単なる装飾や派手さの追求だけではありません。PCを光らせるLEDライティングには、ゲームへの没入感を高め、プレイヤーの個性を表現するという重要な役割があります。自分だけの秘密基地のような空間を作り上げ、ゲームの世界に深く入り込むための演出装置とも言えます。
これからゲーミングPCを購入しようと考えている方や、理想のゲーム部屋を作り上げたいと考えている個人、さらにはeスポーツ施設などの導入を検討している企業担当者に向けて、ゲーミングPCにおけるLEDライティングの魅力や基礎知識、導入のポイントを解説します。
ゲーミングPCを光らせるメリットと魅力
ゲーミングPCを光らせることは、性能向上に直接寄与するわけではありません。しかし、多くのゲーマーがLEDライティングを求める背景には、心理面や環境面での大きなメリットが存在します。ここでは、PCを光らせることで得られる主な魅力を3つ紹介します。
没入感を高めるゲーム環境の構築
部屋の照明を落とし、PCケースや周辺機器から放たれる幻想的な光に包まれる。それだけで、日常から切り離された特別な空間が生まれます。
LEDライティングは、ゲームの世界観を現実の空間にまで拡張する演出装置です。例えば、ホラーゲームでは薄暗い赤色に、ファンタジーRPGでは神秘的な青や緑色にと、プレイするゲームの雰囲気に合わせて光の色を変化させることで、まるでゲームの世界に入り込んだかのような強い没入感を得られます。この視覚的な演出は集中力を高め、ゲーム体験の質を向上させる重要な要素となります。
個性を表現するカスタマイズ性
ゲーミングPCのライティングは、色の組み合わせや発光パターンを自由自在にカスタマイズできる点が大きな魅力です。
クールな青で統一する、情熱的な赤で気分を高める、あるいは虹色(レインボー)に変化させて賑やかに演出するなど、自分の好みやその日の気分に合わせて設定を変えられます。世界に一台だけのカラーリングや発光パターンを作り出すことは、まさに自己表現の一つ。愛機への愛着をより一層深めることにつながります。
所有欲を満たすデザイン性
高性能なパーツが詰め込まれたPC内部を、透明なガラスパネル越しにLEDライトが照らし出す様子は、メカニカルで美しいものです。
美しく光るゲーミングPCは、単なる道具を超えて、部屋を彩るインテリアアイテムとしての側面も持ち合わせています。こだわって組み上げた自慢のPCをデスク上に設置し、その輝きを眺める時間は、何物にも代えがたい所有欲を満たしてくれるはずです。洗練された光の演出は、部屋の雰囲気をガラリと一変させる力を持っています。
光るゲーミングPCの仕組みと種類
「光るPC」といっても、その仕組みは様々です。現在主流となっているLEDライティングの種類と、実際にどのパーツが光っているのか、基礎的な知識を押さえておきましょう。
LEDが搭載されている主なパーツ
PCを構成する多くのパーツにLEDが搭載されたモデルが存在します。これらを組み合わせることで、PC全体をトータルコーディネートできます。
・PCケースファン:最もポピュラーな光るパーツ。回転するファンが光ることで、ケース内を華やかに演出します。
・PCケース:フロントパネルやサイドパネルにLEDストリップが内蔵されているものがあります。
・CPUクーラー:CPUを冷却するファンやヒートシンク上部が光り、PC内部のアクセントになります。
・メモリ(RAM):ヒートスプレッダ(放熱板)の上部が発光し、マザーボード上で存在感を放ちます。
・マザーボード:マザーボード全体を幻想的に照らす間接照明のような役割を果たします。
・グラフィックボード(GPU):高性能なモデルほど、側面やファンが派手に光る傾向があります。
ライティングの種類:RGBとARGBの違い
LEDライティングには、主に「RGB」と「ARGB」の2種類があり、表現力に大きな違いがあります。
<RGB(単色発光)>
「Red(赤)」「Green(緑)」「Blue(青)」の3色の光を組み合わせて多様な色を表現します。ただし、接続された全てのLEDが同時に同じ色でしか光れません。「全体を青く光らせる」「ゆっくりと赤から青へ変化させる」といった使い方が基本です。12Vの電圧で制御されることが一般的です。
<ARGB(アドレサブルRGB/デジタルRGB)>
現在の主流規格です。「Addressable(アドレス指定可能な)RGB」の略で、LED素子一つひとつを個別に制御できます。これにより、「ファンの中央から外側へ色が流れるように変化する」「虹色(レインボー)に光らせる」といった、複雑で動きのある多彩な表現が可能になります。こちらは5Vの電圧で制御されます。
これから光るPCを導入するなら、表現力の高いARGB対応のパーツを積極的に検討しましょう。ただし、RGBとARGBはコネクタの形状や電圧が異なるため、互換性がない点には注意が必要です。
LEDライティングの制御方法
搭載されたLEDを思い通りに光らせるためには、何らかの方法で制御する必要があります。主な制御方法は大きく分けて2つあります。
ソフトウェアによる制御
最も細かく、多彩な設定が可能なのがソフトウェアによる制御です。多くの場合、マザーボードメーカーが提供する専用ソフトを使用します。
ASUSの「AuraSync」、MSIの「MysticLightSync」、ASRockの「PolychromeRGB」などが代表的です。これらのソフトに対応したパーツをマザーボードに接続することで、PC全体のライティングを一括で管理・同期させることができます。色や発光パターンを細かく設定できるだけでなく、ゲームの状況や音楽と連動させて光らせることも可能です。
導入の際は、マザーボードと各パーツが同じライティング規格(ソフト)に対応しているかを確認することが重要です。
リモコンやケースのボタンによる制御
より手軽な方法として、付属のリモコンやPCケース本体のボタンで操作するタイプもあります。
ソフトウェアをインストールする必要がなく、ボタン一つでプリセットされた発光パターンや色を切り替えられるため、初心者でも簡単に扱えます。ただし、ソフトウェア制御ほど細かいカスタマイズはできない場合が多く、マザーボードとの同期ができない独立した制御になることが一般的です。手軽にライティングを楽しみたい方におすすめの方法です。
ゲーミングPCを光らせる際の注意点
魅力的なLEDライティングですが、導入する前に知っておくべき注意点やデメリットも存在します。
コストへの影響
LEDが搭載されたパーツは、非搭載の同等品と比較して価格が高くなる傾向があります。PC全体を光るパーツで揃えようとすると、それなりの追加費用が必要です。性能を重視する場合は、ライティングにかける費用とのバランスを考える必要があります。
配線の複雑化
LEDパーツ、特に複数のファンやLEDストリップを導入する場合、それぞれのパーツから電源用ケーブルとは別に、ライティング制御用のケーブルを接続しなければなりません。
その結果、PCケース内の配線が非常に複雑になりがちです。配線が乱雑になると、見た目が悪いだけでなく、ケース内の空気の流れを妨げ、冷却性能の低下を招く恐れもあります。配線をきれいにまとめる『裏配線』などの工夫が必要になります。
設置場所と光の映り込み
LEDの光は、設置環境によってはデメリットになることもあります。
例えば、PCをデスクの上に置いた場合、モニターの画面にケースの光が映り込んでしまい、ゲームプレイの妨げになる可能性があります。また、寝室と同じ部屋にPCがある場合、夜間に光が気になって眠れないといった問題も起こり得ます。設置場所を工夫したり、必要に応じてすぐに消灯できる設定にしておきましょう。
LEDライティングを導入するステップ
実際にLEDライティングを導入するには、いくつかのパターンがあります。自身の知識やこだわりに合わせて最適な方法を選びましょう。
BTOパソコンで光るモデルを選ぶ
最も手軽で確実なのが、BTO(BuildToOrder)メーカーが販売しているライティング搭載モデルを購入することです。
メーカー側でパーツの相性や配線が検証されており、初期設定で綺麗に光るように組み上げられています。購入後の面倒な設定や組み立ての手間がなく、届いてすぐに光るPCを楽しめます。初心者の方や、手軽におしゃれなPCを手に入れたい方におすすめです。オプションで光るファンなどを追加できる場合もあります。
自作PCでパーツを選定する
とことんこだわりたいなら、自作PCが最適です。
マザーボード、ケース、ファン、メモリなど、一つひとつのパーツを自分好みのデザインやライティング規格で選び抜き、理想の一台を作り上げることができます。統一感のあるライティングを目指すため、マザーボードの対応規格を中心にパーツを選定していくのがコツです。組み立てや配線の手間はかかりますが、完成した時の達成感は格別です。
後付けパーツで既存PCを光らせる
今使っているPCを光らせたい場合、後付けのLEDパーツを追加する方法があります。
最も簡単なのが「LEDテープライト」です。マグネットや両面テープでケース内部に貼り付け、マザーボードや電源ユニットに接続するだけで手軽にライティングを追加できます。また、既存のケースファンを光るタイプに交換するのも効果的です。ただし、マザーボードに接続端子があるか、ケース内に取り付けスペースがあるかなどの事前確認が必要です。
まとめ
ゲーミングPCにおけるLEDライティングは、必須の機能ではありません。しかし、それはゲームの世界への没入感を深め、自分だけの空間を彩るための最高のスパイスです。
虹色に輝かせるのも、シックな単色でまとめるのも自由自在。性能の追求だけでは得られない、エモーショナルな満足感を、光るPCは与えてくれます。
導入にあたっては、コストや配線の手間なども考慮した上で、BTOで手軽に始めるか、自作でこだわり抜くか、自分に合った方法を選びましょう。光の演出を加えることで、あなたのゲームライフはより豊かで鮮やかなものになるはずです。
