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光に群がる虫LED照明には虫が集まりにくいって本当?


店舗や施設の顔となる屋外の看板やデジタルサイネージ。その輝きは、多くの人々の目を惹きつけ、集客において重要な役割を担います。しかし、夏の夜間などに照明を点灯すると、どこからともなく無数の虫が集まってきてしまうという問題は、多くの事業者を悩ませる深刻な課題ではないでしょうか。
光に群がる虫は、お客様に不快感を与えるだけでなく、看板や設備そのものを汚し、清掃の手間やコストを増大させます。何より、お客様が店舗やブランドに抱く「清潔感」という大切なイメージを大きく損ないかねません。虫の死骸がこびりついた看板は、それだけで企業の衛生管理意識を疑われるきっかけにもなり得ます。
そんな中、「LED照明は虫が集まりにくい」という話を耳にする機会が増えました。もしそれが本当なら、事業者にとってこれほど心強いことはないでしょう。本記事では、その真偽について、科学的な根拠を交えながら深く掘り下げ、事業者が取るべき具体的な対策までを網羅的に解説していきます。

なぜ光に虫が集まるのか?その習性の謎

LED照明と虫の関係を理解する前に、まず「なぜ虫は光に引き寄せられるのか」という根本的な理由を知る必要があります。夜の照明に虫が群がる光景は日常的ですが、その背景には、虫たちが進化の過程で身につけてきた特有の習性が深く関わっています。

虫が持つ「走光性」という習性

多くの昆虫には、光の刺激に反応して、光に向かって進んだり、逆に光から遠ざかったりする「走光性」という習性があります。特に、夜間に活動する蛾やカゲロウ、ユスリカといった多くの虫は、光に向かって進む「正の走光性」を持っているのが特徴です。
この習性の理由は諸説ありますが、現在最も有力なのは、夜行性の虫が月明かりや星の光をコンパスのように利用して、自分の飛行角度を一定に保っているという説です。はるか遠くにある月は、自分がどこへ移動しても常に同じ方向から光が差しているように見えます。虫たちは、その光に対して一定の角度を保って飛ぶことで、長距離を真っ直ぐ移動できると考えられているのです。

虫を強く引き寄せる「紫外線」の存在

虫の走光性において、決定的に重要なのが光の「波長」です。人間の目には見えませんが、虫の多くは紫外線を強く感知する能力を持っています。紫外線は、人間が見える光(可視光線)の中で最も波長の短い紫色の光よりも、さらに波長が短い領域の光です。
虫たちは、この紫外線、特に350nm~360nm付近の波長に最も強く誘引される傾向があります。
しかし、従来の照明、例えば蛍光灯や水銀灯が登場しました。これらの照明は、人間用の明かりとして作られていますが、その発光原理上、虫たちが道しるべにしていた月の光とは比べ物にならないほど強力な紫外線を多く放出します。そのため、虫たちのナビゲーション機能が完全に混乱させられ、本来の目的を見失い、強力な光源そのものに激しく引き寄せられてしまうのです。

LED照明に虫が寄りにくいと言われる科学的根拠

虫が紫外線に強く引かれる性質を理解すると、LED照明に虫が寄りにくいと言われる理由が明確になります。その理由は、旧来の照明とは全く異なる、LEDが光を放つ仕組みそのものに隠されていました。

紫外線の放出量が極めて少ない

LED照明に虫が集まりにくい最大の理由は、誘虫の主原因となる紫外線の放出量が、他の光源に比べて極めて少ないという点にあります。
蛍光灯や水銀灯が、放電現象を利用して内部のガスや金属蒸気を発光させ、その際に多量の紫外線を発生させるのに対し、LEDは「半導体」に電気を流すことで直接光を生成します。この仕組みの違いにより、LEDは原理的にほとんど紫外線を放出しません。その量は、蛍光灯の約200分の1とも言われています。虫を引き寄せる主要な原因そのものを、LEDはほとんど含んでいないのです。これは、屋外の看板素材や塗装の色褪せを防ぐという副次的なメリットにも繋がります。

熱の発生が少ない

光だけでなく、熱に集まる習性を持つ虫も一部存在します。従来の白熱電球やハロゲンランプは、消費する電気エネルギーの実に90%以上が熱に変わってしまうため、電球自体が高温になります。
一方、LEDは電気エネルギーを光に変換する効率が非常に高く、発熱が少ないのが大きな利点。この熱の少なさも、熱を好む虫を寄せ付けにくい一因と考えられています。また、発熱が少ないということは、エネルギー効率が良いことの証。同じ明るさを得るための消費電力が少なく済むため、電気代の削減という、事業者にとって直接的な経費削減効果も期待できます。

光の色(波長)を選べる

虫は紫外線だけでなく、可視光線の一部にも反応します。一般的に、波長が短い青色系の光(色温度が高い、約6500Kの昼光色など)には集まりやすく、波長が長い赤色系の光(色温度が低い、約2700Kの電球色など)には反応しにくい傾向があります。
LED照明は、製品によって様々な光の色(色温度)を選べるのが特徴です。そのため、用途に応じて虫が寄りにくいとされる暖色系の光を選ぶといった対策が可能。これも、LEDが防虫対策として有効な理由の一つです。

LEDなら絶対に安心?知っておくべき注意点

LED照明が虫対策に非常に有効であることは間違いありません。しかし、「LEDなら絶対に虫が来ない」と断言するのは早計です。特に、広告媒体であるLEDビジョンを導入する際には、いくつかの注意点を理解しておく必要があります。

紫外線以外に反応する虫もいる

虫の種類は膨大で、すべての虫が紫外線だけに反応するわけではありません。中には、白色光や緑色の光など、可視光線に強く反応する種類の甲虫なども存在します。
フルカラーで多彩な映像を鮮やかに映し出すLEDビジョンは、それ自体が非常に明るく、目立つ存在です。そのため、紫外線の放出がなくても、光そのものの明るさや動きに誘われて、一部の虫が寄ってくる可能性はゼロではありません。ただし、その数は蛍光灯などを使用した従来の電飾看板に比べれば、圧倒的に少なくなることは確かです。

LEDビジョンの輝度と運用環境

LEDビジョンのような大型で高輝度な照明は、それ自体が強力な光源です。例えば、周囲に他の明かりが少ない郊外の国道沿いや自然豊かな場所に設置する場合、多数の照明が煌めく都市部の繁華街に設置するよりも、相対的に虫の注意を惹きやすくなる可能性があります。
自社の設置環境を考慮し、必要であれば清掃の頻度を計画に含めておくなど、現実的な運用を見据えることも大切です。

物理的な対策と清掃の重要性

LEDの導入は非常に効果的ですが、万全を期すためには物理的な対策との併用も視野に入れるべきです。例えば、昆虫の発生源となりやすい水辺や草むらが近くにある場合は、LEDビジョンをそれらから少し離して設置する、といった立地選定の工夫も有効でしょう。
また、LEDだからといって清掃が全く不要になるわけではありません。虫の飛来が減ったとしても、雨風や土埃による汚れは必ず付着します。美しい映像表現を維持し、企業のイメージを守るためにも、定期的な清掃メンテナンス計画は不可欠。虫の死骸が付きにくくなる分、清掃作業そのものの負担が軽減され、結果的にメンテナンスコストの削減に繋がると考えるのが賢明です。

「防虫対策LED」という選択肢

近年では、研究が進み、さらに虫対策に特化した製品も開発されています。これは、虫が特に好むとされる500nm以下の波長の光を、特殊な技術でカットするように設計されたLED照明です。
一般的な照明用途が主ですが、こうした技術の進歩は、LEDビジョンを取り巻く環境にも良い影響を与えるでしょう。特定の波長を制御する技術は、今後の屋外広告における虫対策の新たなスタンダードになるかもしれません。

まとめ

「LED照明に虫が集まりにくい」というのは、科学的根拠に裏付けられた、信頼性の高い事実です。その最大の理由は、虫を強力に誘引する紫外線をほとんど放出しないという、LEDの優れた特性にあります。
これは、屋外で多くの人の目を惹きつけたいLEDビジョンにとって、計り知れないメリットと言えるでしょう。虫による汚れや、それによって引き起こされるブランドイメージのダウンといったリスクを大幅に軽減できることは、設備の維持管理コストの削減以上に大きな価値を持ちます。それは、顧客に対する「私たちは、清潔で快適な環境を大切にしています」という無言のメッセージにもなるのです。
最新のテクノロジーを選択することは、単に新しい設備を導入するという行為に留まりません。それは、空間全体の質を高め、顧客体験を向上させ、ひいては企業のブランド価値そのものを静かに、しかし確実に高めていくための、極めて戦略的な一手となるのです。

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