LEDテープライトの点滅(チカチカ)の原因について解説
「導入したばかりなのにチカチカと点滅している気がする」「まだ寿命ではないはずなのに暗い」などのお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
LED製品の普及が進み、一般家庭でもLEDが使用されるようになりました。LED製品の一つであるLEDテープライトは、薄型で取り付けやすいことから多く選ばれています。
電球や蛍光灯に比べて高寿命といわれるLED製品ですが、まだ寿命まで時間があるにもかかわらず、点滅したり暗くなったりすることがあります。場合によっては、使い方を見直す必要があるかもしれません。
今回は、LEDテープライトを含むLED製品が点滅(チカチカ)する原因について解説します。
寿命の定義
LEDの寿命は、「LEDモジュールが点灯しなくなるまでの総点灯時間」もしくは「初期の明るさから70%の明るさになるまでの使用可能時間」と定義されています。
LED製品を1日に10時間使用した場合、寿命は約10~11年です。構成機器の劣化も考慮すると、使用開始から約8年~10年が適正な交換時期といえるでしょう。
LED製品は、従来の照明器具に比べて長寿命な点が魅力的ですが、寿命を迎える前に点灯しなくなったり、点滅したりすることがあります。原因としては、LED製品の構成する機器の劣化や故障などが考えられます。
また、フルカラーRGBタイプの製品は、単色のLED製品と寿命が異なることに注意してください。フルカラーRGBタイプは、赤・緑・青の3色を組み合わせることで発色しており、各色の使用頻度に差があります。1色でも故障してしまうと任意の色が表現できないため、色が変化したと感じたら交換すると良いでしょう。
LEDの基礎知識
LEDに高寿命・低コストなどのメリットがあることは、広く知られていることです。一方、LEDにはあまり知られていない特徴もあります。ここでは、知っておくべきLEDの基礎知識について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
見えない点滅
LED製品は、実は最初から点滅しています。しかし、とても高速で点滅しているため、人の目では点滅を認識することができません。この点灯方法は「ダイナミック点灯」と呼ばれ、LEDの一般的な点灯方式の一つです。
ダイナミック点灯を採用しているLED製品は、電圧をかけることで半導体のなかにある電子と正孔(せいこう)がぶつかり合い、生じたエネルギーを光に変換する仕組みです。1秒間に電子と正孔がぶつかる回数を「周波数」と呼びます。
周波数は、LED製品の故障や不具合によって低下し、約50Hz以下になると人の目でも点滅を認識可能です。この状態を「フリッカー現象」と呼びます。
また、LED製品の中には、「スティック点灯」と呼ばれる点灯方式を採用しているものもあります。スティック方式は、常時電流をかけて点灯する方式のため、フリッカー現象は発生しません。しかし、電源や構成機器の不具合などによって電流が不安定になると、「ダイナミック点灯」と同様に、フリッカー現象が発生するケースもあります。
フリッカー現象
フリッカー現象は、人体に影響を及ぼす危険があり、気分が悪くなる・眼精疲労を起こすなどの症状の原因になります。そのため、電気用品安全法(PSE)によって、規制されるようになりました。
電気用品安全法では、「一般照明用として光源にLEDを使うものにあっては、光出力はちらつきを感じないものであること」と規定されています。
現在では、フリッカー現象を起こしにくい「フリッカーレス照明」が開発されており、より人体に安全なLED製品を選ぶことが可能になりました。
しかし、「フリッカーレス照明」を使用していても、フリッカー現象が生じるケースがあります。原因としては、基盤や構成機器の劣化・配線の不具合などが考えられます。こまめな点検や配線の確認で、フリッカー現象を防ぎましょう。
避けられない劣化
LED製品は、白熱電球や蛍光灯に比べて、発熱しにくいのが特徴です。しかし、完全に発熱しないというわけではありません。また、LED製品は熱に弱いといった特徴もあり、特に基盤部分は熱によって劣化する恐れがあります。
LEDテープライトの場合は、光量の大きいチップが使用されているものや、チップ数が多いものは、発熱しやすいので注意が必要です。防水・防塵機能を兼ね備えた製品も、樹脂でチップや基盤が覆われており、より熱を逃がしにくい構造だといえるでしょう。
発熱量が多い、もしくは放熱性が低い製品を使用する場合は、放熱性の高い場所へ取り付けるなどの放熱対策を行ってください。放熱性に特化した製品の使用や、放熱性を高めることができるアルミフレームの活用もおすすめです。
電流が正常に流れていない
LED製品は、基盤や電子回路などの構成機器が故障すると電流が正常に流れません。安定した電流が供給できなくなり、点滅や不点灯などの原因になります。
LEDテープライトの場合は、接続不良や誤った配線・切断方法による故障が多いとされています。LEDテープライトが故障する主な原因は、次のとおりです。
●点灯試験や持ち運びのために、リールに巻いたまま点灯する
●取り付ける際に無理に曲げる
●貼りなおす際に強く引っ張る
●LEDテープライトの電源線(V+とV-)を間違える
●通電した状態での接続・結線・切断
●LEDテープライトの種類や長さに応じた電流容量となっていない
●用途に合わせた製品を使用していない
また、LED製品の寿命として定義されている年数は、あくまでもLED自体の寿命です。構成機器や部品の劣化は考慮されていません。使用期間や使用状況によっては、基盤や電子回路などの構成機器が劣化して、点灯の状態に影響を及ぼす場合があります。
整流器の故障も原因の一つ
LED製品に使用されている整流器の故障によって、点滅が生じるケースがあります。整流器とは、電源から流れる交流電流を直流電流に変換して、正常な点灯を行う機器のことです。
照明機器には、交流電流を使用するものと直流電流を使用するものがあることをご存じでしょうか。一般的な照明機器の多くが交流電流を使用するのに対し、LED製品は直流電流を使用します。
家庭にあるコンセントからの電流は交流電流であるため、整流器が故障するとLED製品に流れる電流が交流電流となり、点灯状態を維持できません。電源がオンとオフを繰り返すため、LEDが点滅しているように見えます。
LEDテープライトは、電源コードに整流器が付属していることが多いため、事前に確認しておきましょう。
対応器具を使用する
自宅でLED製品を使用するには、交流電流を直流電流に変換する整流器が必要です。整流器が付属していないLED製品を導入する場合は、LED製品を取り付ける照明機器や電源に整流器が付いているか確認してください。
また、調光機能を持つ照明機器に、LED製品を使用するときにも注意が必要です。調光機能を持つLED製品を調光スイッチがある照明器具に取り付けた場合、LED側と照明器具側とで二重調光となり、点滅やフリッカー現象を引き起こしてしまいます。
まとめ
LEDテープライトを始めとするLED製品は、取り付けが簡単で、高寿命・低コストなどのメリットがあります。しかし、LED製品のメリットを活かすためには、正しい知識を持って使用することが重要です。
しかし、多くの製品のなかから、用途や取り付け場所に合わせた製品を選ぶのは難しいかもしれません。LEDテープライトの導入をお考えの方は、失敗を防ぐためにもプロに相談することをおすすめします。
点滅や不点灯など、正常に点灯しない場合の配線や交換についてのアドバイスも受けられますすので、ぜひ一度相談してみてはいかがでしょうか。