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水銀蛍光灯は廃止(生産終了)?LEDへの移行を本格的に検討すべき理由

近年の主流はLEDを使った照明で、東京スカイツリーもすべての照明にLEDが使われているとして話題となりました。LEDは水銀蛍光灯に比べて省エネ効率が非常に高いため、企業から家庭まで多くの場所で取り入れられています。ちまたでは水銀蛍光灯の生産終了という話題も見かけますが、本当に生産は終了してしまっているのでしょうか。もし水銀蛍光灯からLEDに移行しようと考えている場合、LEDへの移行を本格的に検討する明確な理由はあるのかなど、さまざまな観点から考えた上で照明の交換を考えることが大切となります。

水銀灯とは?


水銀灯とは、水銀を利用した照明で高輝度放電ランプのことを指しています。水銀は常温・常圧で凝固しない唯一の金属元素であり、銀のような白い光沢がある見た目です。水銀には無機・有機の2種類があり、特に有機の方が毒性が強くメチル水銀による中枢神経に対する毒性が知られています。これは日本でよく知られる公害の一つである水俣病の原因となった物質となります。
水銀灯は、ガラス管内の水銀蒸気中の高圧アーク放電によって発生する発光を利用したものです。倉庫や店舗だけではなく、屋外の駐車場や体育館など幅広い用途で使われており、水銀灯のワット数は40~2000Wと幅広く、使用状況によっては広範囲を明るく照らすことができるなどのメリットがあります。
特に倉庫などを持っている企業などでよく使われていますが、消費電力が高くコストがかさむ点や点灯までに時間がかかるなど点がデメリットとして挙げられます。

水銀蛍光灯が廃止になること


広い倉庫などで水銀蛍光灯を使用している企業が最も頭を悩ませている問題は、水銀灯の生産中止という話題でしょう。現在、水銀を使った照明は蛍光灯も水銀灯も生産が終了しています。
水銀灯の大きな問題として水銀による環境問題が挙げられますが、これが水銀灯廃止の動きを加速させた理由です。水銀は凝固しない特性を持つ金属元素ですが、揮発性が高く、自然環境に排出されるとさまざまな生物の体内に蓄積されていきます。無機・有機にかかわらず毒性のある物質であるため、生物の神経系に有害な影響を与えることがわかっており、魚介類を多食する人々の健康への影響が問題視されているのです。
水銀による被害を減らすために、さまざまな規制に向けて締結されたのが水俣条約という条約で、これは2013年に熊本県・水俣市で行われた外交会議の中で採択されました。この条約によって水銀灯の製造・輸出入は禁止対象となり、蛍光灯に関しては水銀の封入量を5〜10mgに規制されています。さらに2021年以降、一般照明用の高圧水銀灯については、水銀含有量に関係なく製造・輸出入が禁止されたため生産自体を行わなくなっているのが現状です。
水銀蛍光灯を作らなくなった大きな理由は、2011年の東日本大震災以降の国内の電力不足が原因と言われています。電力不足や環境問題悪化によって企業や家庭での省エネへの意識が高まることで、LED照明が急激に普及し、それに伴い水銀を使った照明の需要が減少しています。
また、現在のLEDの発光効率は水銀蛍光灯よりも高くて発光効率がよく省エネにもなるため、照明をLEDに移行する企業や家庭が増えることにつながっているのです。

水俣条約


水銀灯が日本で製造されなくなった理由の一つが「水俣条約」です。水俣条約とは、水銀の一次採掘から貿易・添加製品や製造工程での利用、大気への排出や水・土壌などへの放出、廃棄物に至るまで水銀によって引き起こされる健康・環境被害を防ぐために採択された条約となります。
この条約を締結することによって、国際的にも問題視されている水銀を適切に管理し、削減を目指すこととなりました。これにより一般照明用の高圧水銀灯は含有量にかかわらず、製造及び輸出入が禁止となっています。一方で、メタルハライドランプ・高圧ナトリウムランプ・紫外線ランプなどの、一般照明用以外の特殊用途用ランプは規制対象外として取り決められました。
水銀物質は世界中でもさまざまな用途に用いられていますが、排出された水銀を過剰摂取してしまうと人体に悪影響が出てしまうため、日本では昔と比べて使用量は大きく減っています。ところが、医療用計測器・ランプ・無機薬品など、身近な製品に今なお使われていることも事実としてあり、完全禁止にはいまだ至っていません。
2002年にUNEPが公表した「世界水銀アセスメント」をきっかけに、水銀が引き起こす環境汚染・人的被害の危険性が改めて明確となり、国際的な水銀排除の機運が高まりました。日本でも照明に関しては環境保全の観点から自主規制を行なっているメーカーが増えてきているため、水銀蛍光灯は流通在庫でのみの販売というケースも今後は増えてくることが容易に予測できます。世界的な水銀排除の流れに沿って、日本でも企業や家庭など、どのような場所においても数年後には照明のLED化を実施する必要が出てくると言えるでしょう。

水銀蛍光灯の廃棄の仕方


2013年の「水俣条約」の採択を受けて2015年及び2017年に改訂された廃棄物処理法によって、水銀廃棄物に関する規制は大きく強化されました。水銀蛍光灯は昔の様に一般ごみとして簡単に廃棄することができなくなったため、事前に捨てるための方法を知っておくことがとても重要です。
水銀蛍光灯は、ガラス・鉄・ニッケル・アルミ・蛍光体・黄銅・プラスチックなどさまざまな材料を使って製造されています。昔は粗大ゴミと一緒にまとめて出すことができましたが、現在は捨てるときには他の粗大ゴミとは別に分ける必要があります。
水銀蛍光灯には有害物質が含まれているため、ガラスが割れて水銀が漏れ出さないように緩衝材などを巻いた上で、さらに段ボールなどに入れて保管しましょう。もしも割れてしまった場合は水銀が揮発して空気中に有害物質が広がってしまうため、すぐに部屋の換気を行ってください。
また、廃棄する際は蛍光灯素材を処理してくれる業者への依頼が必要です。業者の許可証には水銀使用製品産業廃棄物を含む・含まないが記載されているため、必ず水銀使用製品廃棄物を含んだ業者を選んでください。他にも、水銀ガス除去装置がついた専用の蛍光灯粉砕器を使用しているなど、安全かつ適切に処理できるかのチェックも重要です。
万が一、依頼した業者が不法投棄などをしてしまうと排出企業にも責任が及んでしまいます。処理費や原状回復費などの高額な罰金を払わされるケースもあるため、必ず不法投棄をしない信頼できる優良な産業廃棄物処理業者を見つけて処理してもらうことが大切です。

LEDに交換するメリット


交換用の水銀蛍光灯がある場合は、そのままその水銀蛍光灯を使い続けようと考える企業もあるかと思いますが、先のことを考えると早い時点でLEDに交換する方がメリットが多いと言えるでしょう。
現在は水銀蛍光灯自体の流通量が減っていて昔と比べて価格が上がっているため、交換の際はコストがかさむ可能性が高いです。またLEDは電気を熱に変換しないので消費電力がかなり抑えられるため、水銀蛍光灯とLED電球とでは約80%もの差があります。そのため、LEDの方が電気代が安いためコスト削減にも貢献します。導入時のコストを差し引いても、最終的なメリットはLEDの方が大きいと言えるでしょう。
また、水銀蛍光灯は蛾・ブヨ・ハエなどの虫が寄ってきやすいですが、これは水銀蛍光灯が発する紫外線に虫が反応していることが原因です。一方のLEDは水銀蛍光灯と比べて紫外線に含まれる波長が少ないことから、虫が寄ってきにくく汚れにくいため清掃の頻度も少なくて済みます。LEDの発光効率は高く、光に熱を持たないことから空間が熱くならないため、エアコンなどの空調効率を向上させることができ、結果的に電気代の大幅削減が可能です。
さらに、水銀蛍光灯は6000〜12000時間程度なのに対して、LEDの照明としての寿命は40000〜50000時間と長く、交換の手間がかなり少なくて済むのも魅力の一つです。
まだまだ高価格帯であるLEDの導入コストを考えると積極的に導入しにくいという場合もありますが、長期的なコストや照明を交換する手間などを考えると水銀蛍光灯よりもLEDの方がお得となっています。

LEDに交換するデメリット

LEDに交換するデメリットは、価格がまだまだ高いことが挙げられます。しかし、水銀蛍光灯も流通量が少なくなることで価格が上がり続けている点を考えると、多少導入コストが高くなってもLEDに交換する方がメリットが大きいです。
LEDに交換する際に注意したいことは、照明自体が重いという点です。電気回路が入っている分だけ、同サイズの水銀蛍光灯と比較しても重くなっています。そのため多数の蛍光灯をLEDに変更する場合は、取り付け先の器具の強度チェックが必要です。
また、水銀蛍光灯など他の蛍光灯の光はすべて均等な方向に放射されますが、LEDは光に指向性があることから部分的に暗く感じることもあります。ただし、最近では反射板を内蔵しているタイプのものであるため、全体的に明るくすることは十分可能です。その他にも、一般的な電球と比べると自然光が差したときと同じ色を表す「演出性」が低いことも指摘されていますが、現在では各メーカーの努力により改善されつつあります。
LEDを屋外で使う場合に注意したい点としては、LEDは強い光を発するため敷地内が過剰に明るくなってしまうケースです。安眠妨害や動植物への光害などのトラブルの原因になってしまうことも考えられるため、外に設置する際には光の範囲も考えた上で設置場所を選ぶ必要があるでしょう。
LEDは価格がまだまだ高いため導入コストがかかりますが、水銀が使用されていないため環境汚染や生物への健康被害の心配がない照明です。また、水銀蛍光灯よりも寿命が長く、電気代も大幅に節約できることからコスト面でもメリットが多いため、導入する価値は十分あると言えるでしょう。

●まとめ
環境保全の観点から世界的な水銀排除の流れを受け、日本でも水銀蛍光灯の製造は減少傾向です。そのため今後水銀蛍光灯を交換するタイミングが訪れたときは、まさにLEDの導入を検討する良い機会だと言えるでしょう。

しかし、「どのようなタイプのLED照明を導入したら良いのかわからない」「予算がどれぐらい必要かわからない」など、導入するにあたってはさまざまな不安も発生するはずです。そんなときには信頼のできる業者へ相談することで、導入したい場所にぴったりのLEDを提案してもらえるのでスムーズな交換が行えます。

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